2022.04.20 /

フジジュンのROCKどげん?#20-2

 

 

音楽世界旅行 with RY COODERの続き。

 

[BLUES] & [SOUNDTRACK]

 数々のブルース曲を取り上げてきたライクーダー。

そして映画音楽もたくさん作っています。

音楽世界旅行からやや逸れますがブルース&映画音楽を

ちょこっとまとめてみました。

 

ファーストアルバムに入っている

ブラインドウィリージョンソン作の「DARK WAS(IS) THE NIGHT」

映画パリテキサスではヴィムヴェンダース監督たっての希望で

再び登場しました。

スライドギターの極み。音もいい。

 

ちなみにブラインドウィリージョンソンの原曲は今聴いても、

ただならぬ異様さを放っています。95年前の録音。

ライ少年(14歳)は1962年頃、華やかなポップス全盛時代に

サンタモニカの家にこもって、

このスライドギターを必死に練習していたらしい。やはり変人。

DARK WAS THE NIGHT / BLIND WILLIE JOHNSON / 1927

 

PARIS,TEXAS / RY COODER / ORIGINAL SOUNDTRACK / 1984

 

パリテキサス以外でおすすめのライクーダー映画音楽。

 

LONG RIDERS / 1980 ウォルターヒル監督

ライクーダー初のサウンドトラック、オリジナルアルバムのような仕上がり。

あきません。

 

 

BORDER / 1982 トニーリチャードソン監督

ライクーダーの得意ジャンル、メキシコとの国境物語。

 「危険を冒して国境を越えても約束の地なんてどこにもありゃしない」

と歌われるアクロスザボーダーライン。

映画ボーダーヴァージョンはフレディフェンダーが歌っています。切ない。

 

 

CROSS ROAD / 1986 ウォルターヒル監督

ブルース界の有名人ロバートジョンソンをテーマにした映画。

テーマがブルースだけにライクーダーも気合が入っているように感じます。

 

映画自体は前半いいですが後半のまとまりが良くない。

途中から出てくる女の子の扱いも微妙。後半のやや強引な脚本も納得できない。

スティーヴヴァイのギター合戦も面白くないわけではないが他に

アイディアはなかったのかとも思います。

前半ウィリーブラウンを連れ出すまではワクワクするがやはり後半が残念。

しかし好きです。許せます。

 

クロスロードの歌の中に出てくるウィリーブラウン。

実際は亡くなっていますが生きている設定になっています。

そして、ロバートジョンソンの全29曲という中途半端な数に目をつけ

幻の30曲目をウィリーブラウンの案内で探すという物語。面白い。

 

ロバートジョンソン生きていたら今年で110歳。

戦前ブルースからロックビート世代へ繋げた男。

 

クロスロードで悪魔と取引してテクニックを身につけ南部を放浪後、

伝説のレコーディング。

その翌年、浮気相手のダンナに毒殺されるなどブルース的ミステリアスな生涯。

 

20歳の頃、先輩方から

「ロックを好きならブルースも聞かないかんばい」という

大人への登竜門的にブルースの壁が現れラスボスのように

ロバートジョンソンが仁王立ち。

パンクニューウェイブ世代の私の勝手なイメージでした。

ロバートジョンソン幻想、ブルース集団の権化的イメージは膨らみつつ

マディウォーターズ、ハウリンウルフ、ライトニンホプキンスなどを

経て辿り着いたロバジョン。

 

実際初めて聞いた印象は抱いていたイメージとはだいぶ違っていました。

威圧感や迫力というより、真摯に語りかけるピュアな人。

軽快なビート感は心地よく、豪快というよりも繊細で冷静。

歌声もそんなに荒々しくなく聞きやすい。

戦前の録音なのにギター弾き語りが今っぽいし、うまい。

特に驚いたのは「PREACHING BLUES」

ボトルネック奏法の指さばき?は只者ではない。

それと全く曲調が違うアプローチの

「THEY’RE RED HOT」が逆に耳に残りました。

 

聞く前のイメージがあまりにも大きかったため

満足感はあったけど、どこかに物足りなさも多少残る

ロバートジョンソン初体験でした。

こんな微妙な感想を言うと

クリーム(エリッククラプトン)をリアルタイムで

聞いてきた世代の方に怒られそう。

 

ロバートジョンソン初体験から30年以上経ちますが毎回聞く度に

「物足りなさ」を満たす発見があります。

たかが弾き語りなのに情報量が多い。生々しく、しかも斬新。

録音当時、25歳。エレクトリックギター時代まで

生きていたらどんなことをやっていたのだろうか。

 

今思うとロバートジョンソンは

ブルース初級コースから戦前ブルースに行くための

通行手形、あるいは関所みたいな存在だったのかも知れません。

ROBERT JOHNSON  /  KING OF DELTA BLUES SINGERS

 

 

 

ライクーダーが取り上げた戦前ブルースマン三人を。

 

SLEEPY JOHN ESTES / THE LEGEND OF SLEEPY JOHN ESTES

SLEEPY JOHN ESTES / 1935-37

SLEEPY JOHN ESTES / 1938-40

スリーピージョンエスティス。眠そうなジョン。メンフィス出身。

最初に出会ったのは再発見後のブルーにモノクロ写真ジャケ。

やたらかっこよく見えました。戦前ブルースマンとは知らずほぼジャケ買い。

内容もいいが再発見の裏話もいい。

元々は30年代に活躍した人でその後忘れ去られ死亡説も出る。

実際は生きていて62年に発見されるが、電気もない小屋暮らしで極貧生活。

しかも目が見えなくなっている。発見記事が出て若いブルースファンの

後押しもあり再び表舞台へ。

昔の相棒ハープ&ピアノのハミーニクソンも参加して録音。

なんと日本ではオリコンチャートインしたそうです。

レコードの帯?キャッチコピーが

「涙なくしては聞けない悲痛なブルース」すごい表現。

A面1曲めの「ラッツインマイキッチン」RATS IN MY KITCHEN

かすれ声で歌われる内容が面白い。

 うちの台所のネズミはひどいもんだ、、、

昨夜帰ったらネズミが俺にこう言いやがる、、、

「哀れなジョンよ、ここには食べ物なんかねえぜ、出直してきな」

 

稼ぎがないのに五人の子供を抱えている

稼ぎがないのに五人の子供を抱えている

お金を借りてこないといけない

 せっかく復活したのにネズミに馬鹿にされる歌。

身近な出来事などをテーマにして、

時にはユーモアを交え歌ってきた人だから納得。

 

あとの2枚は30年代バリバリ元気な頃のデッカ録音盤。

声の艶もハリもいい。「どーせ、人間いつかはみんな死ぬんだから」と歌う

「EVERYBODY OUGHTA MAKE A CHANGE」など

スリーピージョン独特の視点が興味深い。

 

ライクーダーのマンドリン奏法はスリーピージョンのバックメンバー、

ヤンクレイチェルから教わったと語っています。

72年のサードアルバムBOOMER’S STORYでは

スリーピージョン作品を2曲取り上げています。

「ケネディ大統領」ではスリーピージョン本人もレコーディングに参加。

ライクーダーのアルバムなのにメインヴォーカルはスリーピージョン。

 

 

 

BLIND BRAKE / RAGTIME GUITARS

戦前ブルースの中で1番のギターテクニシャン。

ラグタイムギターの元祖、

ブラインドブレイク。

ライクーダー1stアルバムで「POLICE DOG BLUES」

4thアルバム、パラダイス&ランチで

「DITTY WAH DITTY」を取り上げています。

ギタリスト、ライクーダーが好むのもよくわかる。

1920年代にこのテクニック尋常ではない。

特に「Blind Arthur’s Breakdown」は驚異的。

歌は強くないがハナウタ風で味がある。

 

 

 

BLIND WILLIE McTELL / THE CLASSIC YEARS

ジョージア出身。12弦ギターをサラリと使いこなす天才肌。

他にハープ、ヴァイオリン、バンジョーも上手い。

ピアノの音も全て言い当てる。方向感覚も記憶力もハンパない。

話しかけられたら白人か黒人か、どのくらいの背丈の人かわかり、

車に乗っても道順を指示するなど

自分の世界では目は見えていると話していたらしい。

超人的な感覚を持ち合わせた人。

 

レパートリーも幅広く歌も軽快。快活。あまり泥臭くはない。

バランス良くてスマートな印象。聞きやすい。

 

ライクーダーは「paradise and lunch」で

「Married man’s fool」という曲を取り上げています。

ライジングサン時代(タジマハール)にも「Statesboro Blues」をカヴァー。

オールマンブラザーズのヴァージョンでも有名な曲。

 

ボブディラン1983年作「infidels」のアウトテイクに

ブラインドウィリーマクテルのようなブルースを歌える者はもういないと歌う

その名も「ブラインドウィリーマクテル」という曲があります。

しっとりとしたいい曲です

 

 

 ここからは私が好きな戦前ブルースを。

 

RCA ブルースの古典 1971年

ボックスセット、3枚組で全42曲。中村とうようさん、

日暮泰文さん、鈴木啓志さん、三人による力作。

凄すぎます。選曲、構成、パンフレットすべていい。

戦前ブルースの入り口に、

これがあるのとないのではだいぶ違うような気がします。

ヴィクターと、その傘下のブルーバード音源。

レコード片面ごとに多少ジャンル分けと

ハイライト的人物がありメリハリが効いています。

片面7曲ずつというのが絶妙。

チャーリーパットン、サンハウス、

ブラインドレモンジェファーソンなどは入っていませんが

十分過ぎる内容。

A面は20年代カントリーブルース各地、

トミージョンソン&ブラインドウィリーマクテルなど。

B面は20年代のメンフィスブルース、

フランクストークスにスリーピージョンエスティス、メンフィスミニー。

C面はジャグバンド特集。

D面はビッグジョーウィリアムスに若き日のロックウッドなど

30年代のミシシッピブルース。

E面はピアノブルース特集。

F面はビッグビルにサニーボーイ1、シティブルース。

CDも持っていますがこれはいろんな意味で絶対LPで聞いた方がいい。

私が好きなのはD&F面です。

 

 

 

MCAブルースの古典 1984年

1984年中村とうようさんが作ったMCAブルースの古典。

同じ頃MCAブラックミュージックの伝統上下巻という名作が出ていますが、

その流れの中で作られたものだと思います。

RCAブルースの古典同様、3枚組全41曲。

これもレコード片面ずつテーマ別で構成され

年代も広がり楽しさ倍増。

カントリーブルース系はやや少なめになり、

デュエット、グループもの、ブギウギ、女性ソロ、

ジャズにジャンプなど。大きな捉え方での戦前ブルース絵巻。

さっきと同じことになりますがレコードでなければ意味がない。

レコード片面ずつの楽しさ。

 

 

 

THE STORY OF THE BLUES VOL.1 & VOL.2

一番有名なブルース歴史本といえば「ストーリーオブザブルース」

著者はイギリス人のポールオリヴァー。1966年発売。

本のタイアップ企画としてレコードも出ています。

VOL.1 & VOL.2、それぞれ2枚組。合計64曲。

有名人総出演的な内容。コロンビア系原盤の豊富さがすごい。

1975年に日本盤も発売されています。

ブルースマンたちがどんなことを歌っているのかがわかる訳詞付き。

これまたレコード片面ずつテーマ別。

写真ジャケはイギリス盤。

 

 

 

 

BLUES IN THE TWENTIES & BLUES IN THE THIRTIES

戦前ブルースを聞き始めた頃に買ったものです。

輸入盤のヤズーなどに比べるとライナーがあるので初心者にはいい。

しかもジャケにたくさん写真がついているから嬉しい。

ヴォキャリオン原盤の20年代編、

タンパレッド&ジョージアトムコンビの

「it’s tight like that」は今でも通用するような

キャッチーなナンバー。

チッピーヒルの「trouble in my mind」は、

じんわり沁みる切なさ。

ヘンリースポールディングの「cairo blues」

個性的なギタースライドが魅力的。

ハイライトはストーンズの盗作で有名な放蕩息子の原曲、

ロバートウィルキンスの「that’s no way to get along」。

 

デッカ原盤の30年代編は当然だが20年代編より断然音がいい。

ノイズ少なめ。

ブラインドウィリーマクテル「hillbilly willie’s blues」はその曲名通り、

ヒルビリーフォーク風。

かるーく歌うウィリーマクテルかっこいいギターもうまい。

スリーピージョンエスティス

「someday baby blues」は渋過ぎる。ハープもイカす。

そしてブラインドボーイフラー、こちらも渋い。

後に手に入れるMCAブルースの古典と

けっこうダブりますがこの2枚の方が思い入れあります。

 

 

 

 

 

BLIND LEMON JEFFERSON / BEST

戦前ブルースの中で一番覚えやすいのがこの人。

見た目が超巨漢なのにレモンという可愛い名前。

ブラインドレモンジェファーソン。テキサス出身。

戦前ブルースものは音が悪いノイズありきが普通なので

多少慣れていましたが、これはハードルが高かった。

ノイズの中に真実を見ろと言いますが、

いい音で育ってきた私達世代は面食らうと思います。

 

カントリーブルースの中で一番声がデカい、よく通る声。

高く張り上げた声にリズミカルで正確なギターフレーズが絡む。

盲目であることをモノともせずレスリングにも参戦、

サクッと路上で歌を披露して金を稼ぐ。二人の子供も作り、

運転手付き車も手に入れる。

100曲近く録音も残している。

音源だけ聞くと実直で手堅い感じだがほんとはユーモラスで芸達者で

頭の回転が早いエンターテナーな人だったのではないかと思います。

地元のTボーンウォーカー、ライトニンホプキンス以外にも

数多くのブルースマンに影響を与えています。

ブラックスネイクモーン「黒蛇の悶え」という

よく出来たエロソングを堂々と歌うんだから。おそるべし。

 

レコードは1971年日本初登場盤。

大地から顔を出すデザインが秀逸。好きです。

ボブディランが取り上げた

「私の墓をきれいにして」はこのLPには未収録。

 

CDは91年P-VINE国内盤20曲入りと

92年発売のマイルストーン、アメリカ盤25曲入り。

すべて同じ写真。この一枚しかないのがわかります。

巨体を震わせて歌う動く姿が見てみたい。

 

 

 

 

CHARLEY PATTON / FOUNDER OF THE DELTA BLUES

1920年代前半から始まったブルースレコード事業。

主にヴィクター、コロンビア、パラマウント、ヴォキャリオンの

四つの会社が行っていたと言われています。

1920年代中頃には南部でもレコーディングが始まります。

 

南部では弾き語りのカントリーブルースが数多く録音されました。

そのカントリーブルース系の中でも

最もディープで魅力的な音楽がミシシッピデルタブルースだと思います。

あのロバートジョンソンを生み出した場所。

ロバートジョンソンが録音したのが1936年と37年。

戦前ブルースとしてはわりと後半。

ラスボスだと思っていたのにその背後にはまだ見ぬ強烈なキャラがいたのです。

 

その一人がチャーリーパットン。見た目に大きな特徴はない、精悍な顔立ち。

真面目な公務員タイプに見えました。

聞いたらびっくり凄みのある超ダミ声。写真と声のイメージが

重ならないこともありインパクトは大きかった。

 

いいとこ育ちで白人の血も入っているクォーター。

めちゃモテたそうです。嘘のような14回結婚。

レコーディング前から人気がありヒーロー状態。

指にはたくさんのダイアモンド、高級車をもち、

ギターにはゴールドが散りばめてある。

想像ですがライブパフォーマンスも派手だったのでしょう。

少年時代のロバートジョンソンが憧れるのもわかります。

 

女性関係の問題で首に傷を負い、

その傷を隠すために写真では蝶ネクタイを斜めにしたという話。

確かに斜めになっています。

豪快だけど見た目は気にする。微笑ましい。好きです。

 

1929年の初録音から60曲近く残しています。

ボトルネックスライドとジャカジャカのストロークでぶちかます

「Mississippi Boweavil Blues」

延々と続く泥道を進むようにギターボディを打ち鳴らしながらスピードを増す

「Down The Dirt Road Blues」。

ダミ声が似ているパットンの弟子ハウリンウルフが

後にカヴァー(そのままではない)する

「A Spoonful Blues」歌うような細かいスライドギターもお見事。

ちなみに毎日スプーン一杯に夢中なんだとは

当時蔓延していたヘロインのことです。

そしてキャッチーなメロディでウキウキさせるラグタイム調の

「Shake It And Break It 」も素晴らしい。

シェイクしてブレイクしてとはエロ歌です。

お客さんも盛り上がるはず。

 

パットンがデルタブルースを作ったわけではないが

パフォーマンスやスター性など考えるとその時期、

デルタブルースの王様であったことは間違いない。

 

赤いLPの方は最初に買ったヤズー盤。

CDはパットンの全曲を網羅したP-VINE コンプリート盤。

 

 

 

 

SON HOUSE / FATHER OF FOLK BLUES

戦前ブルース最後はサンハウス。

(福岡人として最後はこの名前で締め括らないといけません)

サンハウスという名前は、

もちろん鮎川誠さんがいたバンド名で知りました。

ブルースマンの名前だと知ったのはだいぶ後です。

 

チャーリーパットンとは同世代。1928年サンはパットンと出会います。

というかサンはパットンのファンで家に会いに行ったそうです。

そして1930年パットンの推薦でウィリーブラウン、

ルイーズジョンソンと共にレコーディングに参加。

これが有名な四人でのパラマウント、伝説のデルタブルースセッション。

 

ウィリーブラウンは映画クロスロードの中に出てくるあの人。

パットンとサン両者の音楽的理解者及びパートナー。

実はデルタ地区で一番腕が立つギター弾きとも呼ばれていたらしい。

低音弦をうまく使う「future blues」ざらついた声もいい。

 

ルイーズジョンスンは女性のブルースブギウギ風ピアノで

この人もうまい。なんと20歳。パットンの彼女だったそうです。

 

サンは「天国も地獄もない、死んだらどこにいくのか誰にもわからない」と歌う

「my black mama」などを吹き込みます。

サンは元々信心深い教会育ちなのに、この大胆なアプローチは興味深い。

「Preachin’ The Blues」はロバートジョンソンに

直接影響を与えた様なスタイル。

ロバートジョンソンにも同タイトルがありますが同名異曲。

 

重いギタービートに迫力たっぷりの歌。声はパットンよりも柔らかいが

シャウトの凄みは天下一品。ゴスペルブルース風。

 

サンハウス聞くならこのデルタブルースセッションからがおすすめです。

 

その後ウィリーブラウンとコンビを組んで各地で演奏。

ロバートジョンソン少年もマディウォーターズ少年も

これを目撃してブルースの虜になる。

マディウォーターズは後年インタビューで

サンはレコードより生演奏の方が数段すごかったと

回想しています。

1940年代もウィリーブラウンと組んで録音しますが

1952年ウィリーブラウンが亡くなると意気消沈。

ギターも手放し引退。手の震えが止まらないほどのアル中になる。

 

しかし1964年、白人ブルース研究家3人が引退していた

サンの居場所を見つけます。

そして翌年復活レコーディング。

キャンドヒートのアルウィルソンがレコーディングをサポート。

自分の曲も忘れていた本人に本人のギタースタイルを

アルウィルソンが教えて思い出させたそうです。

すごいエピソード。

 

録音当時63歳。じーちゃんなのにバリバリの演奏。凄みも消えてない。

この日のためにエネルギーを蓄えてきたかのよう。

A面1曲目マイブラックママを下敷きにした

「death letter」(死亡通知)でノックアウトです。

35年前のテンションと変わらない、

いや凄みが年齢の分増しているように感じます。

 

デルタブルースのゴッドファーザー、

サンハウス。

鮎川さんが名前を拝借したのも頷けるし共感できます。

 

おまけCM

ライクーダーは日本のCMに出演したことがあります。

1982年、パイオニアのロンサムカーボーイというカーステレオのCM。

私たちの世代にはドンピシャ。めちゃかっこよかった。

CM自体が良かった。コピーライターは秋山晶さん。

ナレーターが片岡義夫さん。

ライクーダーの音楽は数パターンあったと思います。

カメラは1カットでライクーダーを捉えて、淡々とナレーションが入るのみ。

撮影場所はニューヨーク。

(ナレーション)「ニューヨークでザ リバーというのは河ではない。

絶え間なく続く車の流れのことだ」

別バージョン

(ナレーション)「人間が本当に孤独を感じるのは群衆の中だ」

バブル時代のコマーシャルはステキなものがたくさんありました。

 

1988年にはウィスキー、アーリータイムスのCMにも出演しています。

こちらも渋かった。

キャンペーンでライクーダーカレンダーが貰えたのです。

どうやって応募したのか覚えていませんが

今も大切に取ってあります。