2019.03.29 /

フジジュンのROCKどげん?3

 

ロックを観る。

(敬意を込めて敬称略)

昭和50年代。

ノストラダムスの大予言をうっすら信じてた中学時代。

今の若い人に言っても信じてもらえないと思いますが

「動く」ロック映像はまだまだ貴重でした。

たまーにNHKロックライブ映像番組ヤングミュージックショウがあるくらい。

 

高校入学と同時にVHSテープが一般的になり我が家にもVHSデッキがやって来ました。

黒くてモノトーンな配色。ゴツゴツして大きくて無骨な感じ、しかも物凄く重たい。

(当時テレビもめちゃ重たかった)

どこのメーカーだったか覚えてないですが停止ボタンを押すとガシャーンとデカイ音がする。

毎回壊れたんじゃないかとヒヤヒヤしてました。

徐々にロック映像も民放で流れるようになりテレビの前で待ち構えワクワクしながら録画。

いつでも何度でも観れるVHSテープはロック少年にとって大革命です。

VHSデッキを2台つないでダビングもよくやりました。

ダビングしたものを元にしてまたダビング、映像もザラザラで色もない状態ですが当時は全く気になりません。

映像の質より動いていることが重要だったからです。

 

ロックを聴くだけではなく、

ロックを観るというライフスタイルの始まりです。

 

あれから30数年VHSからブルーレイに変わりましたが

ロック番組やMTV、映画などをハードディスクからダビングする毎日。

やってることは昔からずっと変わっていません。

CM広告業界に入り映像の仕事をする上でこのダビング人生も少しは役に立っていると思います。

ダビングしたブルーレイの枚数がもうすぐ4000枚に到達します。

レコード&CD同様やはり置き場所にも困ります。家族からは更に白い目で見られます。

 

というわけで前置きが長くなりましたが

今回はロックを観る!ロック映像特集です。

 

基本的に観て楽しめれば良いと思っているのですが

映像制作の仕事をしてるのでいつの間にか作り手側目線になってしまう時があります。

映像としての説得力、画力というか美しさだったり生々しさだったり質感や空気感を観てしまう。

どんな機材で撮影してるのか、何キャメで撮っているのか、

どんな段取りでやってるのか、裏舞台が気になってきます。悲しい職業病です。

 

ロック映像をざっくり分類すると

①ライブ映像系 ②音楽番組系 ③ドキュメンタリー系 ④伝記系映画 ⑤ロック的要素を含む映画

それぞれに好きなものがあります。

 

①ライブ映像系

 ライブ映像系の出来不出来は演奏者本人の意気込みやその場所の空気感でほぼ決まりますが、

 カメラワーク&編集も重要だと思います。映像としての面白さがないと飽きますから。

 

 ライブ映画でパッと頭に浮かぶのはストーンズのLET’S SPEND THE NIGHT TOGETHERです。

 1983年公開。

 

 高校生の時にツェッペリン狂熱のライブや

 ウッドストックなどリバイバル上映されたライブ映画を劇場で観たんですがピンときませんでした。

 内容はわかるし、それなりに楽しめますが同時代ではないから熱くまではなれない。

 そんな頃にLET’S  SPEND THE NIGHT TOGETHERが公開されたのです。

 1981年アメリカツアー、

 アリゾナサンデビルスタジアムとニュージャージーブレンダンバーンアリーナのライブ。

 ハルアシュビー監督。

 

 ストーンズのライブをちゃんと体験するのも初めてだしそれに加えスタジアムの巨大さ、

 豪華さ&アメリカの開放感、最後のジミヘンアメリカ国家に打ち上げ花火まで釘付けでした。

 興奮しました。

 今見ると少々乱暴な編集だったり微妙なアングルもあるんですがよく撮れてます。すごいです。

 

 20台のカメラで34万フィートと記録があります。

 フィルムカメラ時代ですから1台のカメラに対して

 カメラマン、フォーカスマン、セカンドの最低3人は付くと思うので合計60人。

 カメラ機材&フィルムチェンジ担当など含めたら撮影部だけで70人くらい?

 撮影部を集めるだけでも大変だと思います。

  1台のカメラで17000フィート。400フィートで約3分ちょいだから2時間強。ちょうどライブ時間程度。

 

 全部のカメラ34万フィートを400フィートのフィルム缶で換算するとなんと850個!!

 400フィートフィルム缶の大きさはシングル盤くらいで厚さが5センチ程度です。

 それを850個。やばいです。ものすごい量です。実際は2000フィート缶だと思いますが、、、、

 全部現像して、ポジに起こしてフィルム編集。気が遠くなるくらいの労力です。

 

パンフレット!

 

 

 ちなみに私がCM業界に入った時はフィルム編集からビデオ編集に変わる時でした。

 フィルム編集は制作アシスタント時代に1度だけやりました。

 福岡は東京とは違い35ミリではなく16ミリで編集していたと思います。

 テレビ局への納品も16ミリフィルム、

 手のひらサイズのプラスティックケースにくるっと巻かれていたような気がします。

 一回しかやってないから記憶が曖昧です。

 他にも好きなライブ作品はありますがまた別の機会に。

 

 バンドのLAST WALTS

 マッドネスのMADSTOCK

 ブエナビスタソシアルクラブ

 エルヴィスプレスリーのTHAT’S THE WAY IT IS

 トーキングヘッズのSTOP MAKING SENSE

 マイケルジャクソンのブカレストLIVE

 真夏の夜のジャズ など、、、、

 

②音楽番組系

 音楽番組系もいろいろあります。イギリスだとTOP OF THE TOPS 、

 READY STEADY GO 、OLD GREY  WHISTLE TEST

 アメリカのSHINDIG、GO GO HULLABALOO ドイツのROCKPALAST / MUSIKLADEN などありますが

 ダントツ1番はBBCジュールズホランドのLATERです。

 この番組は素晴らしい。ホスト役の元スクイーズ、ジュールズホランドのキャラが抜群。

 番組の構成、ゲストの選び方、すべて生演奏スタイル、

 途中に挟むインタビュー枠が普段見れないアーティストの人柄までわかる。

 本当に素晴らしい。編集版ソフトよりノーカットのミュージックエア放送が断然いい。

 こんな番組世界中でこれだけでしょ。

 

③ドキュメンタリー系

 ドキュメンタリー系は監督の愛情の深さ、熱さで作品の出来が左右すると思います。

 歴史を羅列するものもあれば本人ではない人が登場してあーだこーだ喋るものも

 見れないわけではないですけど、、、、イマイチ実感が足りない。 

 現在進行形の人たちを撮影する作品の難しさも映像商売をやっているのでわかります。

 どこまで本人たちと向き合えるか、生の姿を引き出せるか、時間的な制限もある、

 予算的制限もある、カメラの台数を増やせばいいってわけでは無いしやはり最終的には愛があるかです。

 過去モノのドキュメンタリーは元々の素材ありきだと思いますが

 これも監督の愛と編集のうまさで歴史以上のものが伝わってくるものもあります。

 

 ざっと思いつくビッグネームのドキュメンタリーを。

 

 WHO / THE KIDS ARE ALRIGHT

 フーとのリアルタイムな出会いはface danceでした。

 パンクまっしぐらな少年にとっては微妙なアルバムです。

 ドラムもケニージョーンズだし、今聞くと悪くないですが。

 断片的に初期の音源も聞いていたのでイメージがごちゃ混ぜ状態でした。

 しかしこの映画を見てフーがどんなバンドか一気に理解できました。

 

 BEACH BOYS / AN AMERICAN BAND

 当時これを見るまでは楽しいサーフィンホットロッドのイメージしかなかった。

 ブライアンウィルソンのことも知らない、デニスウィルソンが死んだことすら知らなかった。

 ほぼ無の状態で観たからこんな読後感になるとは全く予想していませんでした。

 

 ROLLING STONES / CROSSFIRE HURRICANE

 ストーンズものではチャーリーイズマイダーリンや

 25周年の時に作られた25×5とかもありますが50周年記念のこれが決定版ですね。

 よくできてる。ブレットモーゲン監督うまい。

 インタビューの顔出しナシが逆に良かったような気がします。

 音声のみだからリラックスして本音の言葉が出てるし。

 ストーンズは素材がたくさんあるからどれをチョイスして構成するかが一番悩むところ。

 全てのカットを頭に入れて順番を組み立て音楽の使い所も映像との絡みを考えて、、、

 ストーンズ愛が試される作業ですね。でも楽しいでしょうね。

 制作サイドの編集してる楽しさが滲み出てますもん。

 

 BEATLES / EIGHT DAYS WEEK

 今更ビートルズのドキュメンタリーですかって最初は思いましたがしかしこれがよくできてた。

 心動きました。ロンハワード監督エライ!

 後半の護送車で会場から出て行くシーンあたりは引き込まれます。

 

 

④伝記系映画

 ロックレジェンドの伝記映画。当たり外れ多いです。

 ハズレというか無理があるというかチャレンジ精神はいいと思いますが、

 このジャンルはハードル高いです。本人の映像、情報が多いほどハードル上がるしギャップが大きくなる。

 キャスティングが勝敗のカギを握る。音楽モノだけではありませんが有名人を演じるということは

 かなりプレッシャーがあると思います。

 その人物が影響受けたもの、生い立ち、家族や遺族の気持ち、ファンの気持ちなど。責任重大。

 

 私が思う主演頑張った大賞!!!!

 作品の仕上がりは置いといて主演の人の頑張りが見えたものを基準に選びました。

 

 *バディホリーストーリーのゲイリービジー

   元々バディホリー好きだったからなりきってた。歌もギターもグッド!

 

 *ストーンズから消えた男のレオグレゴリー

   ストーンズファンもそこそこ納得したのではないでしょうか。

 

 *ラブ&マーシーのポールダノ

   60年代を演じた方。うまかった&演じきってた。まわりのメンバーも良かった。

   スタジオ録音風景再現も細かくてグッド!

 

 *バックビートのイアンハート

   主演のスチュワートサトクリフ役ではなくジョンレノン役の方。

   若い時のジョンレノンを自然に想像できました。

 

 *ノーウェアボーイのアーロンジョンソン

   これもジョンレノン役ですが瑞々しくて自然でした。ポールとの初めての出会いシーン再現

         エディコクラン、トゥエンティフライトロックが

   もうちょいカッコよければもっと良かったのに、、、やや残念。

 

 *シド&ナンシーのゲイリーオールドマン

   賛否両論あると思いますが、大変だったと思います。

   ナンシースパンゲン役もっとセクシーな人でも良かったのでは。

 

 *RAYのジェイミーフォックス

   芝居の話ではないですがメイウェザーVSパッキャオ戦でのアメリカ国歌斉唱いい感じでした。

 

⑤ロック的要素を含む映画

  ある意味このジャンルが一番面白い。

  誰もが知ってるとこではブルースブラザーズ、ロッキーホラーショウ、

  アメリカングラフィティ、グローイングアップ、コットンクラブ、サタデーナイトフィーバー、

  クロスロード、トミー、ウェインズワールド、24アワーパーティピープル、

  ジャージー・ボーイズなど数々の名作(迷作)があります。

  この中で自分にとって特別な映画が「さらば青春の光」です。

 

  話はまた昭和時代に戻ります。佐賀市内には5つくらい映画館がありました。

  自宅から映画館まで自転車で10分程度。

  (ちなみに佐賀では自転車のことをケッタクイと言います)

  身近な遊び場という感じですから普通に小学校高学年から洋画も見ていました。

  繁華街からちょい外れたところにあった平劇という映画館でこの映画と出会いました。

  私の記憶だと「ビッグウェンズデー」との2本立て。今思うとなかなか良い組み合わせです。

 

  音楽好きパンク少年にとってドンピシャな映画。音楽の使い方、登場人物のキャラ設定など全部いい。

  特に主人公ジミー少年のやさぐれた感じ、切ない感じが何度観てもいいです!今見ても色褪せてない!

 

  原作はWHOのアルバム、四重人格。設定は1964年、夏の物語。ちょうど私が生まれた頃。

  モッズ族のジミー少年を中心に恋、音楽、ロッカーズとの抗争などを

  描いた青春グラフィティ、イギリス映画。フランクロッダム監督。

  主演は新人のフィルダニエルズ、モッズ族エース役にスティング、

  ジミーを好きな女子、モンキー役にトーヤ

  (今はキングクリムゾン、ロバートフィリップのカミさん)など。

  トーヤの勧めでジョンライドンも主演オーディションに行ったとか、

  スティングはバイクに乗れなかったので練習したとか、微笑ましい裏話も好き。

  好きなシーンを言うとキリがないですが、ちょっとだけ。

 

その1

  個別公衆浴場のとなりの部屋でジーンヴィンセントの

  BE BOP A LULAを歌う男に対抗してジミーはキンクスのYOU REALLY GOT MEで対抗。

  このやりとりが笑えます。最後は喧嘩になってしまうのですがなんと隣の男は幼なじみのケビン。

  懐かしい再会ではあったが彼は敵対するロッカーズ。 

  映画中盤でジミー&モッズ族から追い回されボコボコにされるロッカーズのシーンがあるのですが、

  これがまたケビンなんです。ジミーがケビンだと気づき「そいつは俺の友達だー」

  と叫びながら逃げ出すシーンが切なすぎる。

 

その2

  ブルーというアンフェタミン(ドラッグ)を手に入れるため

  薬局へ盗みに入るジミーと仲間。指紋が残らないように?

  そこで見つけたコンドームを全部の指につけて悪ふざけ。

  いつのまにか笑い出す。若者のバカバカしい無邪気な感じがよく描かれている

 

その3

  ブライトンで一夜を過ごし次の日の朝ジミーは海へ。

  ブライトンの海、波、朝の光、このあたりのカットすべてが美しい。

  この映画のベストショットかも。

 

その4

  映画後半、好きだったステフと一回だけ関係を持ったが

  あっさり裏切られそれから全てがうまく行かなくなる。そしてラストシーンへ。

  この辺りの切なさが重なるテンポがいい。

 

  ラストのホワイトクリフの断崖スクーターシーンが圧巻です。

  ヘリ空撮が素晴らしい。ハイテクなヘリカメラもない時代

  しかも潤沢な予算があるわけではないから一発勝負のはず。気合いを感じます。

  空撮の基本ですが太陽の位置とヘリコプターの位置関係を考えないと

  ヘリの影が出るので時間帯にも制限がある。最後にちょっとだけ影が見えますがほぼ完璧。

 

  そして最後の最後、スクーター落下シーンもすごい。

  たぶん本番は一発勝負、2キャメ態勢か?フレームの中にスクーターをとらえてパンダウン、

  ハイスピード4倍くらい?絞り&フォーカスもギリギリか?

  同じようなブツを上から落としてテスト撮影はやってるのでしょう。

  落下地点パンダウンするカメラレンズ揺れもほぼない。お見事。

主演フィルダニエルズさんのバンド、シングル盤!音楽は微妙です。

四重人格BOX

映画の元ネタ?になった写真集が素晴らしい。

四重人格ジャケットと同じモッズコート。思わず買ってしまったが一度も着てない。涙。

 

 

  今回PV、ミュージックビデオはカテゴリーの中にあえて入れていません。

 

  • 追記

  一昨年、お台場ZEPPにストーンズ50周年ツアー映画

  南米ツアー「オレ!オレ!オレ!トリップアクロスラテンアメリカ」

  キューバ公演「ハバナムーンライブインキューバ」の

  爆音上映会に行きました。爆音上映すごいです。

  映像も4K撮影?めちゃキレイだし、音響も最新鋭だから臨場感が半端ない。

  アタマクラクラしました。爆音上映会オススメです。

社長と私シリーズ。二人ともこの撮影が何だったのか思い出せないのです。

オカケンと私シリーズ。ブラジル!ブルガリアに負けとる。