2019.04.27 /

フジジュンのROCKどげん?4

 

数年前のことですが若い制作進行の人から

「古い音楽聴いてますねー」と言われたことがあります。

唐突に言われたので曖昧な返事をしてしまいました。

反論するつもりはなかったんですが「古い音楽」って言われたことが

耳に残りモヤモヤとした一日を過ごしました。

新しいものも積極的に聞いているほうだと思いますが本気で興味が湧く&追っかけたくなるアーティスト

が今の自分にないのも事実です。

 

80年代&90年代までは

ハードコア、レゲエ、ダブ、ヒップホップ、ラップ、ハウス、テクノ、オルタナ、

ミクスチャー、スラッシュ、アンビエント、アフロ、カリビアン、カリプソ、サルサなど

熱くなれる新しいジャンルが次々に登場しました。その都度興奮しました。

当たりハズレもあるし一喜一憂するけど聴いたことがない音楽と出会う時のゾワっとする感じとか

こりゃなんだ?という落ち着かない気分もたまらない。

まさにCHICKEN SKIN MUSIC。

そんな鳥肌が立つ新しい音楽との出会いも年々少なくなっています。

CD売り場も音楽雑誌も今は昔のアーティストの焼き直し作品が主流です。

 

音楽の楽しみ方も変わりました。

ダウンロード&ITUNEなどいつでもどこでも聞ける簡単さと開放感と安心感。

ありがたいことですが便利になると同時に探究心も奪われているような気がします。

音楽だけではなく世の中全体が新しいものを生み出すより焼き直しの時代に

なっているのかもしれません。

 

昔ある先輩が「新しいことは若者、バカ者、よそ者が作り出す」って言ってました。

情報過多で窮屈なSNS時代ですがまた新しい音楽のうねりがいつか来るはずです。

 

新しい音楽ではないですが

例えばダムドのニューローズを今の高校生が聴いてかっこいいと思うことは普通にあると思います。

約40年前の曲ですが効力は薄まってない。当たり前といえば身も蓋もありませんが温故知新。

自分が知らない古いものを聴いて新しく感じればそれは自分にとって新しい音楽だし

新しく感じるか古臭く感じるかは音楽が作られた年代ではなく聴く側の感性で変わる。

 

今回、愛聴盤ランダムチョイスしたら2000年代以降のものがほとんどない。

買ったレコード&CDを調べたら2010年以降に出てきたアーティストのものが

極端に少ないことがわかりました。 

「古い音楽聴いてますねー」と言われて当然ですね。

反論しないでよかった。

 

単純に好きなアルバム紹介。

順不同。個人的趣味。

 

 

 

TODD RUNDGREN / SOMETHING/ANYTHING? 1972

トドランさんの好きなアルバムは数枚ありますが、1枚選ぶとなるとこれです。

今は一人で音楽を作るって当たり前ですけど、この時代に一人マルチ録音。

打ち込みなどないから全て自分で演奏。地道に重ね合わせていくのみ。

しかも2枚組。途中で力尽きたのかD面のみミュージシャン参加。

一人マルチ録音云々言われますがやはり柱となる曲がいいです。

中ジャケットの写真、自宅録音部屋?がごちゃごちゃしてて素敵です。

カンテツで作業してやっと曲が完成、朝になって光が差し込んできたってイメージ。

仮にこの写真が撮影用の美術セットと言われてもそれはそれで素敵です。

 

 

ECHO AND THE BUNNYMEN / HEAVEN UP HERE 1981

そこはかとなく暗く心地良い。ニューウェイブ期に出てきたバンドとしてはニュートラルな方かも。

U2ほど気張ることなく、スミスほど世界観はない。

フロントのイアンマッカロクさん同時期に出たヘアカット100のニックヘイワードさんと

同じ優男系。キャラ被ります。明るい優男と暗い優男。

エコバニはジャケットもいい。オーシャンレイン、ポーキュパインのジャケ写もいいです。

特にこのヘヴンアップヒアのジャケ写は秀逸。

光、雲、カモメ、しっとりとしたトーンにシルエット4人の後ろ姿。

エコバニの音を更に魅力あるものに引き立たせています。

しかしどーやって撮ったのか疑問だったのです。足跡が付いてないのも不思議だし。

今回このアルバムを選んだ時にジャケ写を撮ったBRIAN GRIFFINさんを調べたらアウトテイクの写真を

見つけました!他のアングル違い写真にも足跡が写ってない。

足跡が付きにくい砂質の浜辺だったんでしょう。

大掛かりな準備なしで撮ったような文章もありましたから、たまたまこんな天気だったと。

こんな空と雲とカモメをマジックタイムで狙って撮るなんて超至難の業ですから。

 

 

PHOEBE SNOW / PHOEBE SNOW 1974

ニューヨーク出身、女性。フィービースノウさんのファーストLP。

ロック名盤選とかには出てきませんが好きです。

アルバム全体に漂うゆったりとした空気感とふわっとしてるけど芯の太い歌声に癒されます。

2010年に60歳で死去。R.I.P.

 

 

WAILERS / CATCH A FIRE 1972

レゲエで一番最初に聞いたのはこれでした。82年頃。

一部の音楽好きしかレゲエ音楽の認識はなかった。

レゲエ関連の国内盤もそんなに出てなかったような気がします。

レゲエサンスプラッシュもだいぶあと。情報がないまま聴いたから衝撃は大きかったです。

重くて暗い雰囲気の中「CONCRETE JUNGLE」が始まり、

切なく心に迫る「BABY WE’VE GOT A DATE」「STIR IT UP」

シリアスで実直で優しい音楽。ボブマーレーファンが増え続けるのも納得。

 

 

TONY JOE WHITE / HOMEMADE ICE CREAM  1973

トニージョーホワイトさん、ルイジアナ出身。60年代後半から活躍。

男臭い。チャールズブロンソンマンダム系。

渋い!ワイルド&クール!黙って俺の歌を聴け、腰を振れ。

KING OF FUNKY SWANP ROCK  2000年70歳で死去。R.I.P.

 

 

DAVID BOWIE / LODGER  1979

ロウ、ヒーローズ、ロジャー、ベルリン3部作最後の間借人。

前2作とはちょっと気分が違うような気がするのですが3部作と言われてます。

録音もスイスなのに。3部作って本人が言ったのかな?

B面の3曲、DJ、ルックバックインアンガー、ボーイズキープスウィンギングの

プローションビデオがいいです。まだヴィデオクリップが普通にない時代にすごい。

まとめて撮影してると思うのですがそれぞれのセットがちゃんとしてるし

女装メイクのクオリティも高い。ほぼ自分で演出して撮影の方は任せたからというスタイルかな?

当時ワクワクしてVHSにダビングしました。

DJの途中に出てくる夜のロケ撮影、街を歩きながらキスされるシーンが特にかっこいい。

 

 

RY COODER / BOP TILL YOU DROP  1979

GABBY PAHINUI HAWAIIAN BAND / VOL.1 1975

音楽伝道師ライクーダーさん。

本人のスライドギターだけでも価値は十分なんですがいろんな音楽との出会いを導いてくれる人。

ルーツミュージックからタジマハール、デヴィッドリンドレー、フラコヒメネス、

テックスメックス、ブエナヴィスタ、

そして喜納昌吉&チャンプルーズ、ブラッドライン収録「すべての人の心に花を」も

すべてライさん繋がりで知りました。

制作時代、演出になったらこの美しい曲をCMで提案しようと秘かに思っていました。

しかし数年後願いは叶わずカセットテープのCMで使われて

くやしいやら嬉しいやら複雑な気持ちになりました。

 

ライさんを介して一番大きな出会いはギャビーパヒヌイさんです。

ハワイ音楽家、スラックキーギターの代表的人物。

数本のスラックキーギターの音色が絡み合い異空間へと誘う。最上級ハワイアンミュージック。

これは私の想像ですが音楽探求者でもある若かりし頃のライさんは

スラックキーギターの真髄を追い求めギャビーさんに弟子入り。ハワイ生活。ゆるい師弟関係になる。

ちょうどバンドの録音が始まったギャビー師匠は

「ライちゃん、あんたも一緒に参加してよかばい、ギター弾いちゃらんね」

「ありがとうございます!ギャビー先生おいのアルバムも今度録音すっけんスタジオに

 きてくれんですか」とライさん。

実際ギャビーさんのアルバム裏ジャケに上半身裸でギターを弾くライさんの写真があります。

そして次の年に出たライさんの「chicken skin music」にギャビーさん参加されてます。

ライさんのアルバムはほぼ駄作なし。

一番好きなのはリアルタイムで聞いた「bop till you drop」。

2009年ニックロウさんとの共演来日公演行きました。好きな二人が一緒に来るなんてびっくり。

 

 

ZAPP /Ⅱ 1982

ファンクグループの中でザップが一番好きです。特にこの2枚目が好き。

ロジャートラウトマン監督によるチームザップ。守備体型、攻撃戦術、完璧。

A面1曲め「dance floor」からガツンとカウンターパンチ。やられます。

エレクトリックファンク洪水。

黒人音楽全てのエキスをドロドロに溶かしてロジャーさんの頭の中で再構築。

プリンス殿下も近いものがありましたがやはりロジャーさんが格上でしょう。

「doo wa diddy」のエレクトリックドゥーワップ風味とブルースハープもどき、天晴れです。

ファンク系図だと

ジェームスブラウン→スライ&ファミリーストーン→ジョージクリントン→ロジャートラウトマン 

こんな感じではないでしょうか。ラップの出現で黒人音楽ファンク血統が薄まったのか、終わったのか。

1999年ロジャーさん、兄弟から射殺される。享年47歳。R.I.P.

 

 

TRACEY THORN / A DISTANT SHORE  1982

トレイシーソーンさんの遠い渚。エブリシングバットザガールの女性。

チェリーレッドレーベルと言われるとこのLPを思い浮かべます。

澄み切った空気の夜明けとか、透明で清らかな名も無い小さな川とか、

都会の喧騒から走り出す車窓から見たビルの情景とかいろんなイメージが湧いてくる音楽。

ナチュラルトーンのエレキギター&アコギの弾き語りのみ。

ヴェルヴェットの宿命の女カヴァー入り。全8曲25分程度。あー短い切ない。

 

 

①MUDDY WATERS / BEST

②SONNY BOY WILLIAMSON / BOX

③LITTLE WALTER / BEST

④JIMMY ROGERS / CHICAGO BOUND

⑤HOWLIN’WOLF / MORNIN’IN THE MOONLIGHT

⑥MOONGLOWS / IT’S THE MOONGLOWS

⑦BO DIDDLEY / BO DIDDLEY

⑧CHUCK BERRY / AFTER SCHOOL SESSION

8枚まとめて。これ全てシカゴのチェスレコード録音。CHESS RECORD

黒人音楽最重要レーベルだと思います。

1950年代から60年代にかけてブルース、ドゥーワップ、R&Bなど

幅広く素晴らしいものばかり。宝の山。

チェスレコードを知るまでに時間はかかりませんでした。

パンクパブロック→ブリティッシュビート→ストーンズ→チェスレコード。

あっという間に大きな岩にぶつかった感じ。

音楽は聞いて楽しめれば難しいこと考えなくてもいいと思うとこもあるんですが、

ルーツを探っていくだけでもその人物の生き方、考え方を知って

今の自分を見直すきっかけになったりヒントになったりします。

楽しみ方は人それぞれですがロックは聴いてるだけではもったいないと思うのです。

例えばストーンズも一歩踏み込んで聴いたらキースリチャーズが考えてることがわかりチェスレコード

に導かれる。ローリングストーンズという名前の由来もマディウォーターズの曲だし、

初期LP 12×5の「2120 SOUTH MICHIGAN AVENUE」というインストナンバーは

チェスレコードの住所です。というわけでストーンズを追いかけると

必ずチェスレコードにぶつかるという仕掛けになっているのです。

 

20代前半、日本のP-ヴァインレコードがチェスレコードの版権を取得して

重要なアルバルを次々にリリースしてました。苦労せず聞くことができました。

P-ヴァインレコードのおかげで黒人音楽に初めて触れた同じ年代の人多いと思います。

現在国内盤はユニバーサルミュージックが出してます。なんと1枚1000円!

一ヶ月昼ご飯をコンビニの安いもので済ませればチェスの重要盤が揃う!!

前置きが長くなりました。

 

①MUDDY WATERS / BEST

マディウォーターズさん。本名マッキンレーモーガンフィールド。沼地の濁った水さん。

少年時代に泥んこ遊びが好きだったからこのアダ名だそうです。

ミシシッピの農園労働者から戦時中にシカゴへ。チェスレコード看板アーティスト。マッチョな親分。

1958年最初のLPなのになぜかタイトルがベストオブ。シカゴブルースの代名詞。

バックメンバーも最強の布陣、ドラム=フレッドビロウ サイドギター=ジミーロジャース 

ベース=ウィリーディクソン ハープ=リトルウォルター

そして本人のスライドギターと男っぽいドスの効いた歌。

南部で培ったダウンホームな歌&弾き語りスタイルをシカゴの都会的ブルースに変換。

キャラも強い。汗ベトベトなジャケ写もインパクトあります。

 

 

②SONNY BOY WILLIAMSON / BOX

サニーボーイウィリアムスンさん。 本名不明、年齢不明、住所不定、酒好き、博打好き、

一文無しになったらストリートでハープ吹いて金稼ぎ。とぼけた詐欺師のような佇まい。放浪癖あり。

都会に染まらない気ままで自由なおじさん。しかしハープを吹くと一級品。生き方が素敵すぎます。

マディバンドをバックにした有名曲「don’t start me to talkin」もいいが

相棒ロバートジュニアロックウッド(ギター)との「cross my heart」は更にいい。

声もいいハープもダウンホームな味わいが染み渡る。

 

 

③LITTLE WALTER / BEST〜BOSS BLUES HARMONICA

リトルウォルターさん。マディウォーターズの舎弟?若頭?

喧嘩っ早くて破天荒でトラブルメーカーな天才ハーピスト。

またストーンズの話になりますがブルースカヴァーアルバム「ブルー&ロンサム」の

かっこいいタイトル曲はこの人がオリジナル。

通信用マイクを手で包んで?ギターアンプに繋ぎアンプリファイドしたハープ奏法を

生み出したのもこの人。

ブルースハープ=リトルウォルターと言っても過言ではないかも。

ひらめきもすごいキャッチーなこともブルージーなこともいける。歌もそこそこいける。

問題は人柄だけか。

Muddy watersの代表曲「I just wanna make love to you」の

怪しくむせび泣くように響くハープの音色&ソロは尋常ではない。

インスト曲「blue light」もしびれます。

 

 

④JIMMY ROGERS / CHICAGO BOUND

ジミーロジャースさん。ジミーはやや地味。控えめいぶし銀。

じっくり沁みてくる深い味わい。派手なプレイはないがさすがマディの右腕聞かせるとこは聞かせます。

「sloppy drunk」の軽快な歌い方好きです。ジャケもタイトルもグッド。

 

 

⑤HOWLIN’WOLF / MORNIN’IN THE MOONLIGHT

ハウリンウルフさん。ど迫力のダミ声。印象は豪快で情に厚い。マディの天敵仲悪し。

しかし後年和解ウルフの相棒ヒューバートサムリンさん(ギター)は和解現場を見て涙。いい話です。

「spoonful」「red rooster」「killing floor」など覚えやすいキャッチーなナンバー多し。

A面1曲め「moanin at midnight」の唸り声始まりはゾクゾクします。

 

 

⑥MOONGLOWS / IT’S THE MOONGLOWS

チェスレコードはブルースだけではありません。シカゴの街を指差しポーズのムーングロウズは

ドゥーワップ名門チーム。ドゥーワップの好きなグループ多数あります。

ドゥーワップの魅力を詰め込んだアメリカ ライノレコードのボックスもいつか紹介します。

 

 

⑦BO DIDDLEY / BO DIDDLEY

ボ・ディドリーさん。泣く子も踊るボディドリビートの発明者。この方もチェスレコードから出発。

 

 

⑧CHUCK BERRY / AFTER SCHOOL SESSION

チャックベリーさん。説明不要のロックンロールオリジネイターもチェスレコードで初録音。

 

 

ユダヤ系ポーランド人レナード&フィルチェス兄弟が始めたチェスレコード 。

南部から夢を抱いて大都会シカゴへ出てきた黒人ミュージシャンを中心に録音。

マディウォーターズのヒットによって会社も拡大。

よそ者が新しい音楽を作っていったのですね。

このチェスレードを描いた映画があります。

題名は「キャデラックレコード」2009年公開。ダーネルマーティン 監督。

個人的な感想を言うと悪くはないんですが、、、やや残念。

エピソードを盛り込みすぎた感じとエタジェイムス役のビヨンセがどーしても引っかかる。

ビヨンセが製作総指揮だから仕方ないですが。

マディ役も頑張ってるしリトルウォルター役もオーバーな演出だけど許せます。

ハウリンウルフ役のイーモンウォーカーさんのダミ声はよかった。

芝居する前に喉ガラガラにしたんでしょうね。

残念シーンはストーンズがチェスレコードを訪ねてくるとこ。

ストーンズ役の人たちが残念。オーディションして決めたのかな?

このあがりだったらバッサリこのシーンはカットしてよかったんじゃないでしょうか。

ストーリーにあまり関係ないシーンだし、、、

しかしチェスレコードを理解するにはいい映画だと思います。

 

ブルース映画ついでにもう一つ。2004年公開。

ブルース100周年を記念して作られたマーティンスコセッシ監督総指揮、BLUES MOVIE PROJECT

ヴィムヴェンダース監督他、計7本のブルースドキュメンタリー映画。

これすごいです。また別の機会に紹介します。

 

 

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